そうめんやひやむぎにカラフルな麺が混ざっていると、見た目が涼しげで美しいですよね。子どもの頃に兄弟と色つきの麺を取り合った記憶がある方もいるかもしれません。でも、なぜ色つきの麺が入っているのでしょうか?その理由を解説していきます。
「そうめん」と「ひやむぎ」の違い
どちらも材料は基本的に水と塩、小麦粉と同じですが、違いは製法にあります。手作業で行う手延べ製麺と機械製麺で基準が異なっているのです。
手延べ製麺の場合
手延べ製麺では、そうめんとひやむぎの違いは作り方にあります。手延べそうめんは、練った生地に植物油やでんぷんを塗り、ねじりながら引き伸ばして細く仕上げます。一方、手延べひやむぎは、麺棒で延ばした生地を細く切って作ります。また、手延べうどんも同じ材料ですが、生地を切る工程までは手延べひやむぎと同様です。
江戸時代の文献「本朝食鑑」には、うどんは温かい時期、ひやむぎは冷やして食べると記されており、作り方は同じでも食べ方で区別されていたようです。また、ひやむぎは冷たいまま食べるため細く、うどんは温かいまま食べるために太くなっていったと言われています。
機械製麺の場合
機械製麺では、麺の太さで区別され、JAS規格によって以下のように定義されています。
- そうめん:直径1.3mm未満
- ひやむぎ:直径1.3mm以上1.7mm未満
さらに、1.7mm以上になるとうどんとなります。手延べ製麺では太さが均一でないため、このような区別はしていません。
色つき麺が入る理由
昔は真っ白な麺が区別しづらく、お店で取り違えが起きることがあったためです。その対策として、ひやむぎにだけピンクや緑色の麺を加え、一目でわかるようにしたのです。
1980年代後半までは関東中心にひやむぎに色つき麺が入っていることが多かったですが、工場の機械化が進むと商品の管理が容易になり、色つき麺を入れる必要が減りました。
現在では、そうめんやひやむぎの区別に実用的な意味はなくなりましたが、見た目の彩りや涼しさ、子どもに喜ばれる点から、ひやむぎだけでなくそうめんにも色つき麺が入れられるようになりました。
夏にそうめんやひやむぎを楽しむ際、色つきの麺があると白い麺に彩りが加わり、食欲がそそられますね。かつては区別のためだったとは少し驚きです。手延べのものは太さで区別できないので、食べる際に注意してみるのも一興かもしれません。