「赤飯」を食べるシーンといえば、多くの人が祝いやおめでたい日に思い浮かべるのではないでしょうか?では、なぜ特別な日に赤飯を食べる習慣があるのでしょうか?ここでは、赤飯の持つ意味やその起源についてご紹介します。
赤飯とは?
「赤飯」は一般的に「せきはん」と読みますが、ほかにも「あかまんま」や「あかごわ」「小豆おこわ」などと呼ばれることもあります。もち米を小豆で赤く染めて蒸し上げた料理で、白米や白米ともち米を混ぜたものも「赤飯」と呼ばれることがありますが、本来はもち米で作るものです。
また、「おこわ」という言葉も使われますが、これは漢字で「御強」と書き、正式には「強飯(こわめし)」と表記されます。もち米を蒸したり炊いたりして作るご飯の一種で、「こわ」は「固い」という意味があり、もち米を使った固めのご飯を指しています。ですので、赤飯はおこわの一種であり「小豆おこわ」とも言われます。
「おこわ」には他にもさまざまな種類があり、例えば「栗おこわ」「山菜おこわ」「きのこおこわ」など、季節や好みに応じて様々な具材ともち米が組み合わせられています。
赤飯を食べる意味や起源
今日の赤飯はもち米を使用していますが、もともとは「赤米」を使って作られていました。縄文時代後期に中国から伝来した赤米は、炊くと赤色に染まり、日本では神様への供え物として大切にされてきました。古くから赤は邪気を払う色とされており、赤米をお供えする風習が続いていたのです。
やがて稲作が発達して新しい品種の米が広まり、赤米は次第に栽培されなくなりましたが、赤いご飯を神に捧げる風習が残り、もち米に小豆で色をつけた「赤飯」が一般的になったと考えられています。
南天の葉を飾る理由
赤飯の上に「南天の葉」が飾られることがありますが、これは「難が転じる」という語呂合わせから、縁起の良い植物とされているためです。さらに、南天の葉には防虫・防腐効果があるため、神に供えた赤飯が傷むのを防ぐ役割もあります。
お祝いの日に赤飯を食べる理由
日本では古くから赤い色に邪気を払う力があると信じられてきました。そのため、赤飯は厄払いの意味を込めて、祝いの場で振る舞われるようになりました。また、災いを払う意味から、凶事の際にも赤飯を食べることで不運を追い払う風習が残っています。一部の地域では、葬儀や法事の際にも赤飯が提供されることがあり、故人が長寿を全うしたことを祝う意味も込められているそうです。
地域ごとに異なる赤飯の特徴
関東地方:ささげを使用した赤飯
江戸時代、庶民は小豆で作った赤飯を食べていましたが、武家では小豆が割れやすいため、切腹を連想させるとして縁起が悪いとされ、代わりにささげが使用されました。
長野県:花豆を加えた赤飯
長野県の東信地方では、地元産の花豆を使った赤飯が作られています。花豆は小豆よりも大きく、ふっくらとした食感が特徴です。
千葉県:落花生を使った赤飯
落花生の産地である千葉県では、生の落花生を甘く煮て、赤飯に混ぜて炊くことが一般的です。
福井県:里芋の赤飯
福井県大野市では、特産の里芋が使われ、子孫繁栄の願いを込めて赤飯に取り入れられています。
北海道:甘納豆を加えた赤飯
昭和30年代に料理研究家の南部明子さんが、簡単に作れるとして甘納豆を使った赤飯を広めたことから、北海道では甘い赤飯が定番となりました。
赤飯を食べる節目と行事
節目の日
- 新年(1月1日)
- 成人の日(1月の第2月曜日)
- ひな祭り(3月3日)
- 春の彼岸(3月21日頃)
- 端午の節句(5月5日)
- お盆(8月13日~16日)
- 敬老の日(9月の第3月曜日)
- 秋の彼岸(9月23日頃)
- 大晦日(12月31日)
行事の際の赤飯
- 帯祝い
- 出産祝い
- 誕生日
- お食い初め
- 七五三
- 入学・卒業祝い
- 成人祝いや就職祝い
- 新築や引っ越し祝い
- 還暦や長寿祝いなど
「お食い初め」は赤ちゃんが生後100日を迎える日に行う儀式で、赤飯や鯛などの縁起物を口元に運び、一生食べ物に困らないよう願います。
赤飯の英語表現
- red rice
- rice boiled with red beans
- red-colored rice
11月23日は「お赤飯の日」
勤労感謝の日である11月23日は、赤飯を通して日本の食文化を伝えることを目的に「お赤飯の日」とされています。
赤飯はお祝いの時にだけ食べるものではありません。手軽に購入できるため、日常の食卓にも取り入れてみてはいかがでしょうか。