沖縄そばは、見た目や食感から「そば」とは少し異なる印象を与えるかもしれませんが、沖縄の食文化に欠かせない郷土料理です。
小麦粉を使った麺と豚骨や鰹だしのスープが特徴で、地域ごとに個性豊かなバリエーションがあります。沖縄そばは、その歴史的背景や食文化を通じて、沖縄の人々の暮らしに根付いてきました。
この記事では、沖縄そばの起源やその発展過程を簡単に紹介し、沖縄そばに関連するさまざまなバリエーションも取り上げていきます。
また、「沖縄そばの日」の由来や、「沖縄そばの日」にまつわるイベント情報もお伝えします。沖縄そばをもっと深く知り、その魅力を再発見してみましょう!
沖縄そばとは何か
沖縄そばは、沖縄県で広く親しまれている郷土料理で、地元では「そば」や「すば」、また「うちなーすば」とも呼ばれることがあります。
沖縄そばの主な特徴は以下の通りです。
材料は小麦粉
一般的な「そば」はそば粉を使用した麺を指しますが、沖縄そばは小麦粉を使って作られています。その理由は「沖縄そばの歴史」で後述します。
麺の種類
沖縄そばの麺は中華麺と同じ製法で作られ、食品分類上では中華麺に分類されます。麺の形状は地域や店によって異なり、平打ち麺、細麺、縮れた太麺などがあり、どれもコシと歯ごたえが特徴です。うどんに似た食感ですが、うどんが「水」を使って練られるのに対し、沖縄そばや中華麺は「かん水」というアルカリ性の塩水を使うことで、独特の風味とコシが生まれます。
具材
沖縄そばの基本的な具材は、三枚肉(味付けされた豚の角煮)、沖縄かまぼこ、小葱です。また、コーレーグス(島唐辛子を泡盛に漬けたもの)や紅ショウガが薬味として使われることもあります。
スープ
スープは豚骨のだしと鰹のだしをブレンドしたものが基本ですが、店によっては豚骨のみのスープや、鶏ガラや煮干しを使ったものもあります。
沖縄そばの由来と起源
沖縄そばの起源について簡単に紹介します。沖縄の麺料理は、琉球王国時代(1429年~1879年)に中国から伝わったとされていますが、現在の形態の小麦粉を使った麺料理が広まったのは、明治時代(1868年~1912年)の終わり頃だと言われています。
大正時代(1912年~1926年)に入ると、庶民の間でも麺料理が日常的に楽しまれるようになり、この時期には「ラーメン」のような麺が登場しました。中国系の支那そばを元にした小麦粉製の麺を「沖縄そば」と呼び、「中華そば」や「南京そば」とも呼ばれました。
その後、沖縄の人々の味覚に合わせて様々な改良が加えられ、現在の沖縄そばが完成しました。
昭和(1926年~1989年)の時期、特に第二次世界大戦後、沖縄が米軍に占領されたことにより、小麦粉が豊富に供給されるようになりました。戦争で夫を失った女性たちが沖縄そばの店を開店し、沖縄の代表的な食べ物として急速に普及しました。
沖縄が日本に返還された昭和47年(1972年)頃には、沖縄そばが沖縄の大衆食として定着し、県外にもその名が広まりました。
地域ごとに異なる沖縄そばの種類と違い
沖縄そばには、地域ごとに異なるトッピングや味、麺の特徴があり、いくつかのバリエーションがあります。それぞれの特徴を以下にご紹介します。
ソーキそば
「ソーキ」とは沖縄の方言で、スペアリブを指します。沖縄そばの基本的な麺やスープはそのままに、トッピングが三枚肉ではなくスペアリブに変わるのが特徴です。
てびちそば
「てびち」とは沖縄方言で豚足を意味します。こちらも沖縄そばの麺やスープは変わりませんが、トッピングが三枚肉ではなく豚足が使われています。
八重山そば
八重山地方で食べられる沖縄そばで、特徴としては豚肉の代わりに牛肉を使用することや、麺がやや細めであることが多い点です。
宮古そば
宮古島特有の沖縄そばで、スープは他の沖縄そばよりも薄味のものが一般的です。麺は太く、しっかりとした食感が特徴です。
10月17日は沖縄そばの日
「沖縄そばの日」は毎年10月17日に定められています。2024年は10月17日(木)となります。
この日は、沖縄そばが「沖縄そば」として認められるようになったことに由来しています。この背景には、沖縄そばが小麦粉100%で作られているため、そば粉を使用していない点があります。公正競争取引規約では、そば粉を30%以上使用しないと「そば」として扱えないため、1976年(昭和51年)には、沖縄そばが「そば」としては認められないと指摘を受けたのです。
しかし、沖縄の住民にとって「そば」といえば沖縄そばであり、この呼び名は地域に深く根付いています。このため、沖縄製麺協同組合は関係機関と交渉を行い、1978年(昭和53年)10月17日に「本場沖縄そば」という商標が認められました。
この日を祝うため、沖縄製麺協同組合は平成9年(1997年)に「沖縄そばの日」を設けました。
沖縄そばの日関連のイベント
2024年の「沖縄そばの日」に関連するイベント情報は以下の通りです。
沖縄そばスタンプラリー
開催期間:2024年10月1日(火)~2025年2月28日(金)
沖縄そばを提供する店舗でスタンプを集めると、沖縄そばの無料券やオリジナルどんぶりがもらえます!
詳細情報:第14回 沖縄そばスタンプラリー
2024沖縄そばの日フェスタin郵便局
開催日:2024年10月16日(水)、17日(木) 11:00~15:00
会場:沖縄県那覇市 那覇中央郵便局
沖縄そばに関連するパネル展示や販売、PR活動が行われます!
詳細情報:沖縄生麺共同組合
沖縄そばは、そば粉ではなく小麦粉100%で作られていますが、日本返還当時は「そば」として認められていなかったことを知って驚きです。長年親しまれてきた名前を変えずに「沖縄そば」として残せたことは、地域の誇りであり、嬉しいことですね。
10月17日前後に沖縄を訪れる際は、その歴史的背景を思い出しながら、沖縄そばの日のイベントを楽しんでください!
まとめ
沖縄そばはその独特な味わいと食文化を持つ、沖縄の代表的な郷土料理です。小麦粉で作られた麺と、豚骨や鰹だしを使ったスープが特徴で、地域ごとに異なるトッピングや味のバリエーションがあります。ソーキそばやてびちそば、八重山そば、宮古そばなど、どれも魅力的で個性があります。
また、「沖縄そばの日」は、沖縄そばが「沖縄そば」として認められるようになった歴史的な背景に基づいており、毎年10月17日に祝われます。この日を通じて沖縄そばの由来や重要性を再認識することができます。沖縄そばの日には、スタンプラリーやフェスタなどのイベントも開催され、沖縄そばの魅力をより深く楽しむことができます。
沖縄を訪れる際には、ぜひこの特別な日に沖縄そばを味わい、その歴史と文化に触れてみてください。