岐阜県特有の文化を感じられる「岐阜弁」をまとめてご紹介します!
岐阜県は東西の方言が交わる地域に位置し、地域ごとに異なる方言が楽しめます。北部の飛騨地方では愛知の影響、南部の美濃地方では東側が長野・山梨・静岡、西側が関西の影響を受けており、方言の違いからどの市出身かを推測できるほどです。
また、岐阜弁は関西弁や関東弁の要素が混ざっているため、「似非関西弁」と呼ばれることもあります。例えば、「模造紙」を「B紙」、「自動車教習所」を「車行」と表現するなど、独自の表現が豊富です。また、他県で「ずるい」を意味する「こすい」が、岐阜では「賢い」を意味するなど、他地域では通じにくい言葉もあります。
岐阜県は映画『君の名は。』の舞台としても有名で、特に飛騨地方には聖地巡礼に訪れるファンも多いです。劇中の「~やの」「~やお」といった語尾が話題になり、「岐阜弁は可愛い」と注目されるようになりました。
この記事では、日常会話でよく使われる岐阜弁や、特徴的な語尾について詳しく解説しています。興味のある方はぜひ参考にしてみてください!
この記事の内容
- 岐阜弁でよく使われる言葉の意味とその使い方
- 岐阜弁特有の語尾の特徴
- 50音順でまとめた岐阜弁リストで、気になる単語をすぐにチェック可能!
岐阜県の方言リスト【あ行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
あじない | おいしくない |
あば | さようなら |
えか | よろしいか |
えらい | 疲れた・しんどい |
あじない
岐阜県では「おいしくない」を意味する方言で、「うまない」とも表現されます。「味がない」という言葉から派生し、料理や食べ物の味が合わない場合に使われるようになったとされています。この言葉は京都でも同じ意味で使われています。
例文
このお店好きなんだけど、一品だけあじないメニューがあるんやお。
(このお店は好きなんだけど、一つだけおいしくないメニューがあるんだよ。)
あば
別れ際に使われる挨拶で、「さようなら」を意味します。「あばあば」と繰り返して使われることもあります。元々、飛騨地方では男性が「あばよ」、女性が「あばえな」と使っていた言葉が簡略化されて「お別れ」の表現になったとされています。
例文
あば!明日また同じ時間に会おうね!
(さようなら。また明日同じ時間に会おうね!)
えか
相手の了承や理解を確認する際に使われる方言で、「よろしいか」という意味です。丁寧に「よろしいですか?」と尋ねるニュアンスにも、強調して「分かったか!」と伝えるニュアンスにも応用可能です。
例文
お客さんが来る前に掃除しておきなさいよ!えか!?
(お客さんが来る前に掃除しておきなさいよ!分かった!?)
えらい
岐阜では「疲れた」「しんどい」という状態を表す言葉として使われます。また、体調が悪い時や何かに耐えきれないほど辛い場合にも用いられます。他の地方でも類似の意味で使われますが、九州地方では「非常に」という強調の意味になる点が異なります。
例文
インフルエンザにかかって熱が出て、動けんくらいえらい。
(インフルエンザにかかって熱が出て、動けないくらいしんどい。)
岐阜県の方言リスト【か行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
かう | かける |
かんこーする | 工夫する |
きのどく、うたてー | ありがとう |
けなるい | うらやましい |
こわい | 恥ずかしい、など |
かう
岐阜では、鍵を「かける」という動作を「かう」と表現します。この言葉はボタンを留める動作にも使われ、購入を意味する「買う」と混同されることが多い、岐阜ならではのユニークな方言です。
例文
外出する時は、きちんと鍵をかうことを忘れんようにしときんさい。
(外出する時は、きちんと鍵をかけるのを忘れないようにしておきなさい。)
かんこーする
「工夫する」や「考えながら行動する」という意味で使われる方言です。漢字の「勘考」が由来とされますが、岐阜では「考えた上で工夫する」という実践的な意味が含まれています。
例文
前回の失敗を踏まえて、今回こそかんこーしてもっと良い結果を出したいと思うんやお。
(前回の失敗を踏まえて、今回は工夫してもっと良い結果を出したいと思うよ。)
きのどく、うたてー
「ありがとう」を意味する岐阜の方言です。「申し訳ない」という感謝の気持ちを含むため、丁寧で奥ゆかしい表現として使われます。この言葉は北陸地方でも類似の意味で使われています。
例文
きのどく、ほんとうに助けてもらえて感謝しとるよ。
(ありがとう、本当に助けてもらえて感謝しているよ。)
けなるい
「うらやましい」という意味で、他人を称賛するときに使われます。「気になる」という状態から派生したと言われ、福井や京都でも類似の言葉が使われます。
例文
あの子は勉強も運動もできて、けなるいと思うんやお。
(あの子は勉強も運動もできて、羨ましいと思うよ。)
こわい
「恐ろしい」以外にも、「恥ずかしい」「固い」「困った」などさまざまな意味を持つ方言です。飛騨地方と美濃地方でニュアンスが異なるため、文脈で判断する必要があります。
例文
人前で話すのは、こわいわ。
(人前で話すのは恥ずかしいよ。)
昨日のパン、すっかりこわくなっとるわ。
(昨日のパン、すっかり固くなっているよ。)
岐阜県の方言リスト【さ行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
さがし | 竹馬 |
さぶぼろ | 鳥肌 |
知らすか | 知らない |
さがし
岐阜県の飛騨地方で「竹馬」を指す方言で、「しゃがし」とも呼ばれることがあります。この言葉の由来は「鷺足(さぎあし)」から来ているとされ、鳥の鷺の足の形状をイメージしたものだと言われています。
例文
運動会でさがしに乗ることになったで、家でしっかり練習せんといかんわ。
(運動会で竹馬に乗ることになったから、家でしっかり練習しないといけないよ。)
さぶぼろ
「鳥肌」を意味する岐阜特有の表現です。関西地方の「さぶいぼ」や京都の「さむいんぼ」と似ていますが、岐阜では「ぼろ」という独特な言い方が使われます。他県の人には馴染みがないため、岐阜らしい表現として覚えておきたい方言です。
例文
半袖で外に出たら、寒さでさぶぼろ立ってまった!
(半袖で外に出たら、寒さで鳥肌が立っちゃった!)
知らすか
「知らない」「そんなこと聞いたことがない」という驚きを含む方言です。予想外の情報を聞いた時や思いがけない事実に驚いた際に使われることが多い表現です。
例文
え、あの人が優勝したの!?そんなの知らすか!
(え、あの人が優勝したの!?そんなの知らなかった!)
岐阜県の方言リスト【た行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
だちかん | ダメだ・いけない |
たわけ | 馬鹿 |
ちんちん | ものすごく熱い |
どす | ひどく |
だちかん
飛騨地方でよく使われる「ダメだ」「いけない」という意味の方言です。この言葉は「埒が明かない」という表現が短縮・変化したものとされています。愛知や新潟でも同じ意味で使われています。
例文
人に迷惑をかけることはだちかんことやよ。
(人に迷惑をかけるのはダメなことだよ。)
たわけ
「馬鹿者」を意味する岐阜県の方言です。語源は「田分け」から来ており、田んぼを分割していくと面積が減ってしまうことに由来していると言われます。この背景から「田分けする者=愚か」とされ、「たわけ」という言葉が生まれたようです。
例文
なんやこのたわけ!もう一回ちゃんとやり直してきてよ!
(なんだこの馬鹿!もう一度きちんとやり直してきてよ!)
ちんちん
岐阜や愛知で「非常に熱い」という状態を表す方言です。「ちんちこちん」という言い方もあり、特に熱い食べ物や飲み物に対してよく使われます。他県の人が聞くと驚くかもしれません。
例文
鍋のお湯がちんちんに沸いてるから、触らんように気を付けや。
(鍋のお湯がすごく熱くなっているから、触らないように気を付けてね。)
どす
「ひどく」や「非常に」を意味する強調表現です。岐阜県では「ど」を付けることでニュアンスを強めることがあり、「どす」はその代表例です。他にも「でら」や「でれぇ」という言葉が似た使われ方をします。
例文
どす疲れたで、今日はもう何もしたくないわ。
(すごく疲れたから、今日はもう何もしたくないよ。)
岐阜県の方言リスト【な行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
なまかわ | さぼること |
ぬくとい | あたたかい |
のっけから | 最初から |
なまかわ
「さぼる」や「怠ける」を意味する岐阜の方言です。「なまかーもん」という「怠け者」を指す言葉から派生したと考えられています。飛騨地方では「ずくたれ」という似た意味の表現も使われます。
例文
なまかわせんと、仕事をきっちり片付けなあかんよ。
(さぼらずに、仕事をきちんと片付けないといけないよ。)
ぬくとい
「温かい」を表す方言で、愛知や静岡などの近隣県でも使われています。西日本では「ぬくい」とも表現される言葉で、形容詞だけでなく副詞「ぬくぬく」として使うことも可能です。
例文
この部屋は陽当たりが良うて、ぬくといから居心地ええわ。
(この部屋は陽当たりが良くて、温かいから居心地がいいよ。)
のっけから
「最初から」や「いきなり」を意味する言葉で、岐阜の方言として使われています。他県でも耳にする機会があるため、覚えやすい表現の一つです。
例文
のっけから張り切りすぎると、後でしんどくなるでね。
(最初から張り切りすぎると、後でしんどくなるよ。)
岐阜県の方言リスト【は行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
はんちくたい | むかつく・腹が立つ |
ひとちょん | ポニーテール |
はんちくたい
「むかつく」「悔しい」「ちくしょう」などの感情を表す岐阜県の方言です。もともと江戸弁の「半ちく」(中途半端)が由来で、「中途半端なことにイライラする」といったニュアンスが含まれています。
例文
子供が言うこと聞かんもんで、ほんとにはんちくたいわ~!
(子供が言うことを聞かないから、ほんとに腹が立つわ~!)
ひとちょん
岐阜では髪を結ぶことを「おちょんぼ」と言い、一つ結び(ポニーテール)は「ひとちょん」、二つ結び(ツインテール)は「ふたちょん」と表現します。この可愛らしい言い回しは日常の会話に取り入れたくなるような響きです。
例文
今日は気合を入れたいで、髪をひとちょんにしてみるわ!
(今日は気合を入れたいから、髪を一つ結びにしてみるよ!)
岐阜県の方言リスト【ま行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
まめかな? | 元気? |
~まるけ | ~まみれ・~だらけ |
まわし | 支度・準備 |
~もんで | ~だから・~ですので |
まめかな?
「元気?」と相手を気遣う挨拶の言葉です。岐阜県では「まめ」という言葉が「健康である」という意味も含むため、「まめかな?」は親しみを込めた表現として使われます。また、大豆の栽培を通じて子どもたちに学ばせる「まめなかな運動」という取り組みも、この言葉に由来しています。
例文
最近会っとらんけど、まめかな?
(最近会っていないけど、元気かな?)
~まるけ
「~まみれ」や「~だらけ」を意味する方言です。物や状況が一面に広がっていることを柔らかい表現で表します。日常会話で親しみやすい言葉です。
例文
子どもたちが遊んだ後は、部屋がおもちゃまるけやったわ。
(子どもたちが遊んだ後は、部屋がおもちゃだらけだったよ。)
まわし
「支度」や「準備」を指す言葉です。「まわししといて!」と言われても、相撲の「まわし」を連想する人もいるかもしれませんが、岐阜ではしっかりと準備することを意味します。
例文
明日の遠足のまわし、ちゃんとしとる?
(明日の遠足の準備、ちゃんとできてる?)
~もんで
理由を表す接続詞で「~だから」や「~なので」と同じ意味です。静岡や長野では「~だもんで」とも使われます。岐阜の方言では、柔らかく日常的に使われる表現の一つです。
例文
天気がええもんで、今日は外でご飯を食べようか。
(天気がいいので、今日は外でご飯を食べようか。)
岐阜県の方言リスト【や・わ行】
岐阜県の方言とその意味
方言 | 意味 |
---|---|
やっとかめ | 久しぶり |
わっち | 私 |
やっとかめ
「久しぶり」という意味を持つ岐阜県特有の言葉です。この表現は、「八十日目」や「やっと10日目」といった意味合いから派生し、長い時間が経過したことを示すようになったと言われています。その響きから、不思議な印象を受ける方も多いかもしれませんね。
例文
やっとかめ!久しぶりに会えて嬉しいわ。
(久しぶり!会えて嬉しいよ。)
わっち
岐阜で「私」を意味する方言で、柔らかく可愛らしい響きが特徴です。他県ではあまり聞かれない独特の言い回しで、日常会話に取り入れたくなる表現です。
例文
わっちは岐阜から来たんやで、よろしくな。
(私は岐阜から来たんだよ、よろしくね。)
岐阜県の方言の特徴的な語尾リスト
語尾 | 意味 |
---|---|
~しとる | ~している |
~しぃやぁ | ~したら? |
~まいか | ~しましょう |
~やお | ~だよね |
~しとる
「~している」という意味の岐阜の語尾です。中部地方だけでなく、近畿や中国、四国地方でも似た使われ方をします。
例文
今度の連休に高山へ行く計画をしとるんやお。
(今度の連休に高山へ行く計画をしています。)
~しぃやぁ
「~したら?」という促しやお願いの意味を持つ語尾で、岐阜だけでなく西日本の一部でも使われる表現です。
例文
温泉でゆっくり癒されたいなら、下呂温泉に行ってみぃやぁ。
(温泉でゆっくり癒されたいなら、下呂温泉に行ってみたら?)
~まいか
「~しましょう」と提案する際に使われる語尾です。岐阜県の他にも静岡や三重などで聞かれることがあります。
例文
美味しい飛騨牛が食べられる店に、一緒に行こまいか。
(美味しい飛騨牛が食べられる店に、一緒に行きましょう。)
~やお
「~だよ」という断定のニュアンスを持つ語尾です。「~やの」や「~やが」といった形で疑問や強調の意味を持たせることもできます。岐阜方言の中でも特に親しまれる表現の一つです。
例文
さるぼぼは雪深い飛騨でおばあちゃんが作った人形なんやお。
(さるぼぼは雪深い飛騨でおばあちゃんが作った人形なんだよ。)
岐阜県の方言は、可愛らしい響きや個性的な言い回しが多く、他県の人には新鮮に感じられるものがたくさんあります。次に岐阜を訪れる際は、この方言を使ってみて、地元の人との交流を楽しんでみてはいかがでしょうか?
次の休みには、やっとかめに岐阜へ出かけて、美しい景色や温かい人々との会話を楽しみまいか!
(次の休みには久しぶりに岐阜へ出かけて、美しい景色や温かい人々との会話を楽しみましょう!)