居酒屋やバーで楽しくお酒を飲んだ後、なぜか「もう少し何か食べたい」と感じた経験はありませんか?
一見、十分に飲み食いしているように思えても、深夜にラーメンなどの炭水化物を求めてしまう人は多いものです。
そこで今回は、お酒を飲んだ後になぜラーメンなどが欲しくなるのか、その理由をわかりやすく掘り下げます。
さらに、47都道府県ごとに“飲んだ後の定番シメ”を一覧でご紹介。
地域によってはパフェやステーキをシメに選ぶなど、ユニークな文化も存在します。
旅先での夜を締めくくるのにピッタリなご当地グルメをぜひチェックしてみてください。
1. 飲んだ後に炭水化物が欲しくなるメカニズム
「飲みの席であれこれ食べたはずなのに、なぜかお腹が空く」という現象は、多くの人が経験する不思議のひとつ。実は、人体はアルコールを分解するときにさまざまな栄養素を使うため、次のようなメカニズムで空腹が誘発されます。
- アルコールは有害物質
体にとってアルコールは毒性を持つ物質です。そのままでは有害なので、肝臓が頑張って分解する必要があります。 - 分解過程でエネルギー源を大量消費
アルコールが肝臓でアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸へと変化し、最終的に二酸化炭素と水になって体外へ排出されます。この一連のプロセスでは、主にブドウ糖(グルコース)が消費されるのが特徴です。 - 血糖値の低下で脳が“食欲スイッチ”を入れる
血液中のブドウ糖が不足すると血糖値が下がり、脳が「もうそろそろエネルギーを補給しないと危険」と判断。すると空腹感が強くなり、「何か食べたい!」という欲求が高まります。
ここでポイントとなるのが、「炭水化物(糖質)を含む食事」が、速やかに血糖値を上げるのに有効だということ。炭水化物には以下のような食品が挙げられます。
- パンや白米
- 砂糖を使ったスイーツ
- 麺類(ラーメン、うどん、パスタ など)
このような経緯があるため、夜遅くでもラーメンやご飯ものが欲しくなるのです。
2. ラーメンが支持される主な理由
2-1. アルコール分解で消費される栄養素
アルコールの分解にはブドウ糖以外にもアミノ酸(アラニンやグルタミン酸など)が必要です。
- アラニン
- 豚肉や鰹節、その他の肉類に豊富
- グルタミン酸
- 味噌や醤油などの発酵調味料、小麦粉に多く含有
ラーメンに含まれる主な栄養素
- 豚骨や鰹節由来のスープ:アラニンやグルタミン酸がたっぷり
- 醤油や味噌をベースにしたスープ:発酵調味料のうまみで満足感UP
- 小麦粉を使った麺:炭水化物を手軽に補給
- チャーシュー(豚肉):アラニンが豊富に含まれる
こうして見ると、ラーメンはアルコール分解で失われた栄養素を総合的に補いやすいメニューだといえます。
2-2. 塩分と水分の補給
お酒には利尿作用があり、普段よりトイレに行く回数が増えます。その結果、以下の状態になりやすくなります。
- 脱水症状に近い状態(体内の水分不足)
- 電解質(塩分など)の不足
ラーメンは塩分濃度が高めのスープと水分が同時に摂取できるため、飲み会の後にぴったり。体が欲している要素を一度に取り入れられるという点でも支持されているのです。
3. 【47都道府県別】シメに選ばれる定番料理一覧
飲み会の後、「とりあえずラーメン!」という声をよく聞きますが、日本各地には古くから根づいてきた“シメの文化”や、最近になって定着した食習慣が存在します。
下記の一覧を参考にすると、地域ごとの特色が一目瞭然です。旅行や出張先で夜を過ごす際、ぜひ現地のシメ文化を体験してみてはいかがでしょうか。
北海道・東北エリア
- 北海道:パフェ
- 札幌を中心に、深夜まで営業するパフェ専門店が人気
- 青森県:煮干しラーメン、シジミラーメン
- しっかりしたダシの旨みがクセになる
- 岩手県:じゃじゃ麺
- 麺と肉味噌を混ぜて楽しむ岩手名物
- 宮城県:お粥、ラーメン
- 夜中には優しいお粥やこってりラーメンが選ばれる
- 秋田県:稲庭うどん
- のど越しの良い麺が締めにもピッタリ
- 山形県:醤油ラーメン、そば
- ご当地そばやラーメン文化が盛んな地域
- 福島県:ラーメン
- 喜多方ラーメンなど、多彩なご当地麺が定番
関東エリア
- 茨城県:お茶漬け
- シンプルなお茶漬けでサラッと〆るのが通
- 栃木県:ラーメン
- 宇都宮は餃子のイメージもあるが、締めはラーメン派も多数
- 群馬県:ラーメン
- シンプルな醤油から豚骨まで、地域によってバリエーション豊富
- 千葉県:ラーメン、あさりご飯
- 海の幸を活かしたあさりご飯も人気
- 東京都:牛丼、ラーメン、アイス
- 24時間営業の牛丼チェーンや深夜営業のラーメン店、アイスで締める人も
- 神奈川県:ラーメン
- 家系ラーメンが筆頭。コクのある豚骨醤油で満腹感を満たす
中部エリア
- 新潟県:へぎそば
- 海藻をつなぎに使った独特のコシが魅力
- 富山県:ブラックラーメン、氷見うどん
- しっかり濃いめの味付けが夜にぴったり
- 石川県:お茶漬け
- 香り高いお茶でシメるのが昔ながらのスタイル
- 福井県:越前おろしそば
- 大根おろしのさっぱり感が人気
- 山梨県:ラーメン、そば
- 「ほうとう」も有名だが、飲んだ後はあっさりそばを好む人も
- 長野県:そば、ソースカツ丼、ローメン
- 地域によってはローメンやボリューム満点の丼物が定番
- 岐阜県:タンメン
- 野菜の旨みが染み渡るスープで体に優しい
- 静岡県:ラーメン、おでん
- 黒はんぺんや渋めの出汁が効いた静岡おでんが夜の定番
- 愛知県:カレーうどん、ラーメン
- コクたっぷりの味噌やカレー風味で締める
- 三重県:ぎょうざ、お茶漬け
- 具がたっぷり詰まった餃子とあっさりお茶漬けが人気
近畿エリア
- 滋賀県:近江ちゃんぽん、お茶漬け
- 豚骨・鶏ガラのスープに野菜がたっぷり入ったご当地ちゃんぽん
- 京都府:カレーうどん
- 出汁の効いた上品なカレーうどんでシメる人が多い
- 大阪府:うどん
- だし文化が根付く大阪ではうどんが定番
- 兵庫県:スイーツ、お茶漬け
- 神戸スイーツを楽しんだ後にあっさりお茶漬けという組み合わせも
- 奈良県:ラーメン
- 天理ラーメンなど、独自のご当地ラーメンが人気
- 和歌山県:和歌山ラーメン
- 豚骨醤油のコクが特徴のご当地ラーメン
中国・四国エリア
- 鳥取県:ホルそば、ラーメン
- ホルモンと焼きそばがコラボした「ホルそば」が話題
- 島根県:そば、シジミ汁
- 出雲そばや宍道湖のシジミを使った汁物で体を温める
- 岡山県:ラーメン
- 岡山ラーメンはシンプルで飽きのこない味わい
- 広島県:広島焼き
- 麺入りのお好み焼きでボリューム満点
- 山口県:ばりそば、ラーメン
- カリッとした揚げ麺が特徴のばりそばが独特
- 徳島県:ねぎ焼き、うどん
- たっぷりのねぎと甘辛い味付けが後を引く
- 香川県:讃岐うどん
- コシの強さが抜群で、飲んだ後でもツルッといける
- 愛媛県:ラーメン
- 魚介系の出汁が効いたラーメン店も多い
- 高知県:屋台餃子
- 一口サイズで手軽に食べられ、夜の街にも屋台が多いのが特徴
九州・沖縄エリア
- 福岡県:うどん、豚骨ラーメン
- 柔らかめの麺やコクのある豚骨スープで最後まで大満足
- 佐賀県:佐賀ラーメン
- 豚骨ベースが多いが、県内で味の違いを楽しめる
- 長崎県:ラーメン、おにぎり
- ちゃんぽんや皿うどんも含め、様々な麺文化が充実
- 熊本県:熊本ラーメン
- にんにくチップが効いた一杯が定番
- 大分県:冷麺、ラーメン
- 別府冷麺など、暑い季節にもさっぱりいただける
- 宮崎県:うどん
- 柔らかめの麺とあっさりスープでほっとひと息
- 鹿児島県:鹿児島ラーメン
- 鶏ガラと豚骨のWスープでまろやかな味わい
- 沖縄県:ステーキ
- ガッツリ肉を食べて締める文化が根付いている
4. まとめと旅先での楽しみ方
飲んだ後に無性にラーメンやうどんを欲してしまうのは、アルコール分解に伴い体が必要な栄養素や水分・塩分を補給しようとする自然なサイン。炭水化物やアミノ酸、塩分を一度に補えて、満足感が得やすいメニューとしてラーメンが重宝されているのです。
また、日本各地を見渡すと、夜のシメには驚くほど多彩な選択肢があることがわかります。パフェやお茶漬けといった軽めのものから、がっつりとしたステーキまで、地域の食文化が色濃く反映されるのが面白いポイントです。
- ラーメン=定番というイメージが強い一方、各地で異なるソウルフードが存在
- その土地ならではの食材や調味料を使ったシメグルメは、旅行の楽しみのひとつ
出張や観光で訪れた先では、地元の人々が愛する〆グルメを堪能してみるのはいかがでしょうか。飲み会の最後を締めくくる一品として、日本各地の魅力を味わってみてください。