新年といえばおせち料理を思い浮かべる方も多いですよね。
おせち料理の具材にはさまざまな種類があり、どれも特別な願いや意味が込められています。
今回は、各おせち料理の種類とその意味、込められた願いを一覧にしてご紹介します。
さらに、おせち料理の歴史やその起源についても解説します。
おせち料理の起源と歴史
おせち料理は、弥生時代(紀元前4世紀~紀元後3世紀頃)に始まったとされています。
当時、日本では稲作が普及し、米を食べる文化が広がりました。
農耕が生活の一部になることで、自然の恵みに感謝する気持ちが生まれ、特別な日に神に感謝する習慣が根付きました。
その後、中国から「節(せち)」や「節日(せちにち)」と呼ばれる暦が伝わり、日本でも節目に合わせた料理が作られるようになりました。
これが「節供(せっく)」料理とされ、おせち料理の始まりと考えられています。
奈良時代から平安時代にかけては、「節会(せちえ)」と呼ばれる宮中行事が行われ、不老長寿を祈るための特別な儀式として定着していきました。
節会の中でも重要な五つの節会が以下の通りです。
日にち | 節会の名前 |
---|---|
1月1日 | 元日節会(がんじつのせちえ) |
1月7日 | 白馬節会(あおうまのせちえ) |
1月14、16日 | 踏歌節会(とうかのせちえ) |
5月5日 | 端午節会(たんごのせちえ) |
11月の辰の日 | 豊明節会(とよのあかりのせちえ) |
五節会で神々に供えられた食物は「御節供(おせちく)」と呼ばれ、これがおせち料理の語源になったとされています。
江戸時代になると、御節供の風習は庶民の間にも広がり、正月に特別な料理を「おせち料理」として準備するようになりました。
おせち料理の種類と願い一覧 ~どのような願いが込められているの?~
おせち料理は重箱に詰められることが多いですが、この重箱にも意味が含まれています。
おせち料理が重箱に詰められるようになったのは明治時代以降のこと。
重箱には「福が重なる」「喜びが重なる」といった意味が込められています。
重箱の段数は家庭や地域によって異なりますが、正式には四段重が使用されます。
段 | 詰める料理 |
---|---|
一の重 | 「祝い肴」:お酒のつまみになる料理を詰めます。 |
二の重 | 「口取り」:甘い料理を詰めます。 |
三の重 | 「焼き物」:海の幸を焼いた料理を詰めます。 |
与の重 | 「煮物」:野菜を煮た料理や山の幸を詰めます。 |
※「四」は「死」を連想させるため「与」という字を用いています。
おせち料理の具材の意味
では、おせち料理のそれぞれの意味を見ていきましょう!
黒豆
「まめ」に働き、健康で一年を過ごせるようにとの願いが込められています。また、黒色は邪気を払う力があるとされ、長寿の願いも込められています。
数の子
たくさんの卵を持つニシンは、子孫繁栄の象徴とされ、子宝に恵まれることを祈っています。
田作り(別名「ごまめ」)
豊作を願う意味があり、農業の発展や豊かな収穫を祈念しています。
海老
その曲がった姿が老人を連想させることから、長寿の象徴とされ、「長生きできるように」という願いが込められています。
伊達巻
巻物の形が書物に似ていることから、知識や教養の発展を願う意味があります。また、卵を使っているため、子宝の祈りも含まれています。
紅白蒲鉾
紅色は厄除け、白は清浄を表し、紅白の組み合わせはおめでたいものとされています。半円形が日の出を象徴し、新しい始まりにふさわしい食べ物とされています。
紅白なます
人参の赤と大根の白でお祝いの紅白を表現し、細長く切ることで縁起の良い「水引」に見立てられています。
栗きんとん
黄金色の見た目が財運を表し、商売繁盛や富の願いが込められています。
れんこん
穴が開いていることから、将来を見通す力を願い、良い一年を迎えられるよう祈られています。
昆布巻き
「喜ぶ」の語呂合わせから、縁起を担いで「喜びが増えるように」と願いが込められています。
酢だこ
タコの赤と白が紅白を表し、幸福を願う意味が込められています。「多幸」に通じることからも縁起が良いとされています。
ごぼう
長く地中に根を張る姿から、根気強く過ごせるようにとの願いが込められています。たたきごぼうは、運を開く縁起物です。
棒鱈
「たらふく食べる」と「腹=福」の語呂合わせから、「一年間豊かに暮らせるように」との願いが込められています。
ぶり
成長と共に名前が変わる出世魚で、出世や成功を祈る意味を持っています。
ナマコ
米俵を連想させる形から、豊作を願う象徴とされています。
たけのこ
成長の早さから、子供が健やかに育つようにとの願いが込められています。
くるみ
硬い殻が家を守るとされ、家庭の平安を祈る意味があります。
おせち料理の意味とは?
お正月におせち料理を食べるのは、年の初めに女性たちが家事から解放されるため、また正月三が日のお店の休業に備えるためとも言われていますが、本来の意味は異なります。
お正月には、豊作や幸福をもたらす年神様が訪れるとされており、年神様を迎えた後は静かに過ごすことが良いとされ、炊事は控えられていました。そのため、年末に保存の効くおせち料理を準備し、正月に食べるという習慣が生まれたのです。
おせちの内容は地域や家庭ごとに異なり、引っ越し先や新しい環境で見慣れない食材に出会うこともあるかもしれません。それでも、どれも新年を祝う気持ちが込められています。家族みんなでおせちを囲み、新年の抱負を語り合うのも素敵な始まり方ですね。