日本で初めて撮影された写真とは?最も古い写真の歴史を探る

現代では、スマートフォンやデジタルカメラの普及により、誰もが簡単に写真を撮影し、記録として残すことができます。撮影した写真はその場で確認でき、気に入らなければすぐに削除することも可能です。また、データとして保存し、SNSにアップロードするなど、写真の利用方法は多様化しています。しかし、ほんの数十年前までは写真撮影の方法はまったく異なっていました。

過去には、フィルムカメラが主流であり、写真を撮影した後はフィルムを現像する必要がありました。どのように写っているのかは現像するまで分からず、ピントがずれていたり、光の加減が悪かったりしても、修正や削除ができませんでした。さらに時代を遡ると、写真技術の発展はどのように進んできたのか、日本ではいつ頃から写真が撮影され始めたのか、その歴史に興味が湧いてきます。今回は、日本における写真の歴史を振り返り、最も古い写真について詳しく探っていきます。

世界最古の写真とは?

写真技術が初めて生まれたのは19世紀初頭のフランスです。フランスの発明家ニセフォール・ニエプス(1765年~1833年)が、1822年に「用意された食卓」という写真を撮影しました。これが世界最古の写真とされています。しかし、残念ながらこの写真の原版は現存しておらず、実際にどのような写真だったのかを確認することはできません。

現在、現存する最も古い写真は、1825年頃にニエプスが版画を撮影した「馬を引く男」といわれています。また、実際に人物が写った世界最古の写真は、1838年にフランスの写真家ルイ・ダゲール(1787年~1851年)が撮影したものです。

ルイ・ダゲールは「ダゲレオタイプ」という銀板写真技術を開発し、写真の普及に大きく貢献しました。この新技術により、写真はより鮮明に記録できるようになり、多くの人々に受け入れられました。このダゲレオタイプが日本に伝わったのは、江戸時代後期の1841年のことです。オランダ船によって長崎に持ち込まれたカメラを、蘭学者であり写真家でもあった上野俊之丞(うえのしゅんのじょう)が購入したことが、日本での写真技術の幕開けとされています。

日本で初めて写真が撮られたのはいつ?

上野俊之丞が購入したカメラは、その後、薩摩藩(現在の鹿児島県)の藩主である島津斉彬(しまづなりあきら)に献上されました。写真技術に強い関心を持っていた斉彬は、1849年頃に家臣たちに写真技術の研究を命じました。

約8年間の研究と試行錯誤の末、日本で初めてのカメラが完成しました。そして、島津斉彬が自らモデルとなり撮影が行われました。この撮影が実施されたのが1857年6月1日(のちに9月17日が正しいと判明)であり、日本人によって撮影された最初の写真とされています。この貴重な写真は、現在、鹿児島県にある尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)に保存されており、国の重要文化財にも指定されています。

日本人が撮影された最古の写真とは?

日本人が撮影された最も古い写真は、1854年にペリー艦隊に同行したアメリカ人写真家エリファレット・ブラウン(1816年~1886年)によって撮影されたものです。この写真には、日本の藩士などが写っており、現存する5枚の写真が国の重要文化財に指定されています。撮影の正確な日時や場所は特定されていませんが、開港した横浜や函館で撮影されたと考えられています。

この写真が撮影された当時、日本人にとって写真はまったく未知のものでした。撮影された人々は、自分たちの姿が紙に映し出されることに驚き、時には不思議な感覚を覚えたと言われています。また、一部の人々は「魂を抜き取られるのではないか」と恐れを抱いたとも言われています。

6月1日は「写真の日」

公益社団法人日本写真協会は、日本人によって初めて写真が撮影された6月1日を「写真の日」として、1951年(昭和26年)に制定しました。制定後に、日本最古の写真が実際に撮影されたのは9月17日だったことが判明しましたが、現在も6月1日が「写真の日」とされています。この日を記念して、毎年5月から6月にかけて、全国各地で写真展や企画展が開催されています。

この「写真の日」は、写真の歴史を振り返り、写真の魅力や重要性を再認識するための機会となっています。写真は単なる記録手段ではなく、文化や歴史を伝える大切なツールでもあります。

まとめ

日本における写真の歴史は、幕末の時代にまで遡ります。初めての撮影時には、1枚の写真を撮るのに30分もかかったと言われ、撮影される人は微動だにせずに待たなければなりませんでした。当時の人々にとって、写真を撮影することは未知の体験であり、出来上がった写真を見て驚いた人も多かったでしょう。

現在では、スマートフォンやデジタルカメラを使って、誰もが手軽に高画質な写真を撮影できる時代になりました。しかし、その便利な技術の背後には長い歴史と、多くの人々の研究と努力があったことを忘れてはいけません。写真文化の発展には、過去の技術革新が大きく貢献しているのです。

私たちは、これからも写真の魅力を再発見し、歴史とともにその価値を伝えていくべきではないでしょうか。日本の写真の発展の歴史を知ることで、写真文化に対する理解がより深まることでしょう。

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