島根県の方言には、他ではあまり見られない独自の魅力があります。本記事では、島根弁を地域別に整理し、その面白い特徴をご紹介します。
島根の方言は、大きく出雲、石見、隠岐の3つの地域に分けられます。その中でも特に広く使われているのが出雲弁です。
例えば、松本清張の小説『砂の器』では、出雲方言と東北方言の類似性がトリックとして活用されていますが、出雲弁の「い」と「え」が混ざった独特なイントネーションは東北方言にはないユニークな特徴です。
さらに、出雲弁には「四段活用」と呼ばれる表現があります。「こげ(こんな)」「そげ(そんな)」「あげ(あんな)」「どげ(どんな)」といった表現があり、「あげ、あげ」や「あげだあげだ」というフレーズは「そうそう」や「そうだそうだ」という意味で使われます。
また、「あの人」を「あのさん」、「この人」を「このし」と呼ぶのも、島根ならではのユニークな言い回しです。
「悪いけど」という意味で「ごめんけど」と表現したり、語尾に「だけん」を付けたりするのも島根の方言の特徴の一つ。これらは地元では日常的によく使われています。
この記事では、こうした島根県の方言の特徴を具体的な例文を交えて分かりやすく紹介しています。
この記事でわかること
- 島根の方言でよく使われる表現とその意味
- 特徴的な語尾や言い回しの解説
- 50音順に整理した方言リストで、気になる言葉をすぐにチェック可能!
島根の方言の世界を覗いて、その面白さをぜひ体験してください!
島根県の方言【あ行】まとめ
ユニークな方言とその意味をチェック!
方言単語 | 意味 |
---|---|
あばかん | 余るほど多い、手に負えない、仕方がない |
いこかい | 一緒に行こう |
えっと | 多い、最上位、長い間 |
おんぼらと | のんびりと穏やかに |
あばかん
意味:あり余る・手に負えない・どうしようもない
「あばかん」という表現は、何かが多すぎて扱いきれない様子を指します。「あばかんほど」となると「たくさんありすぎる」というニュアンスです。例えば、大量に何かをもらったときに使うことが多いです。
例文
あの子、いたずらがひどすぎて、あばかんわ!
(あの子、いたずらがひどくて手に負えないよ!)
いこかい
意味:行こうよ
「いこかい」は、相手を積極的に誘う際に使われるフレーズです。少し柔らかい表現として「いかいや」もあります。日常会話でよく登場するため、覚えておくと便利です。
例文
夏休みだけん、一緒にしまね海洋館アクアスに行こかい!
(夏休みだから、一緒にしまね海洋館アクアスに行こうよ!)
えっと
意味:たくさん/一番・最も/長い間
「えっと」という言葉は、地域によって異なる意味で使われますが、島根では「たくさん」や「長い間」の両方の意味で使われます。同じ「たくさん」という意味で「じゃん」という方言も使われます。
例文
えっと待たせてしもうて、ほんまごめん。
(たくさん待たせてしまって、本当にごめんね。)
おんぼらと
意味:穏やかな
「おんぼらと」は、天気や気分が穏やかな時に使われる島根の代表的な方言です。天気が良い日や、ゆったりとした時間を楽しむときにピッタリの表現です。
例文
今日はおんぼらとした日和で、気持ちがええなぁ。
(今日は穏やかな天気で、気持ちがいいですね。)
島根県特有の温かみある方言を知ると、地元の雰囲気がもっと身近に感じられるはずです。ぜひ使ってみてください!
島根県の方言【た行】
日常的に使われる島根独自の言葉をご紹介します!
方言単語 | 意味 |
---|---|
たばこする | 休む、休憩する |
だんだん | 感謝します、ありがとう |
ちょうかんぼう | 感染性の胃腸炎 |
ちょっこし | 少量、ちょっと |
たばこする
意味:休憩する/ひと息つく
「たばこする」は、実際にたばこを吸う意味ではなく、「休憩する」ことを指します。昔から農作業の合間の休憩で使われていた言葉で、今でも作業の合間に使われることがあります。
例文
作業が一段落したら、飲み物でも買ってきて、たばこしょうや。
(作業が一段落したら、飲み物でも買ってきて、休憩しようよ。)
だんだん
意味:ありがとう
「だんだん」は感謝を表す方言で、島根以外の地域でも聞かれることがあります。島根では、特別なニュアンスを持つ温かみのある言葉として親しまれています。
例文
だんだん!あんたが持ってきてくれた果物、めっちゃ甘かったで。
(ありがとう!あなたが持ってきてくれた果物、とても甘くておいしかったよ。)
ちょうかんぼう
意味:感染性胃腸炎
「ちょうかんぼう」は「腸感冒」と書き、胃腸に関わる感染症を指します。特に冬場など、手洗いや食べ物の管理が重要になる季節によく聞かれる言葉です。
例文
ちょうかんぼうにかからんように、手洗いはちゃんとせんといけんよ。
(感染性胃腸炎にならないように、手洗いはちゃんとしないといけないよ。)
ちょっこし
意味:少し/ちょっと
「ちょっこし」は、「少し」や「ちょっと」の可愛らしい言い回しで、会話の中で軽いニュアンスを加えたい時に便利です。
例文
ちょっこしだけその料理、味見させてくれる?
(少しだけその料理、味見させてくれる?)
島根の方言には温かさや日常の親しみが詰まっています。ぜひ覚えて使ってみてください!
島根県の方言【は行】
島根独特の表現とその意味を詳しく解説します!
方言単語 | 意味 |
---|---|
はしる | 鋭い痛みが走ること |
ばんじまして | 夕方の挨拶、こんばんは |
ぼいちゃげる | 後を追いかける |
ぼっこー | とても、非常に |
はしる
意味:痛みが鋭く激しい状態
「はしる」は、走ることではなく、鋭く突き刺すような痛みを指します。この表現は広島でも使われており、特に急性の痛みを表現する際に便利です。
例文
お腹が急にはしって病院に行ったら、盲腸だって言われて入院することになったよ。
(お腹が急に激しく痛み、病院に行ったら盲腸と診断されて入院することになったよ。)
ばんじまして
意味:夕方の挨拶/こんばんは
「ばんじまして」は、夕方に交わす挨拶で、「こんばんは」に相当します。「ばんげ(夕方)」から派生した言葉で、特に仕事帰りの時間帯などに使われることが多いです。
例文
ばんじまして。夕焼けがぼっこーきれいだなぁと思って眺めとったよ。
(こんばんは。夕焼けがとてもきれいだなと思って眺めていましたよ。)
ぼいちゃげる
意味:追いかける
「ぼいちゃげる」は、何かや誰かを追いかけることを指します。他にも「ぼえちゃげる」や「ぼいしゃげる」といった言い回しがありますが、どれも島根独自の言葉で、他県の人には分かりにくいかもしれません。
例文
誰かにぼいちゃげられる夢を見る時って、ストレスがたまっとることが多いらしいよ。
(誰かに追いかけられる夢を見る時って、ストレスが溜まっていることが多いらしいよ。)
ぼっこー
意味:非常に/とても
「ぼっこー」は、「とても」や「非常に」という意味を持つ強調表現です。広島や岡山では「ぼっけー」や「ぼれぇ」といった表現があり、同じような意味で使われます。
例文
来月の誕生日、どんなプレゼントがもらえるか、ぼっこー楽しみなんだよね!
(来月の誕生日、どんなプレゼントがもらえるか、とても楽しみなんだよね!)
島根の方言には、地域の暮らしや文化が反映されています。ぜひ覚えて、地元の雰囲気を楽しんでみてください!
島根県の方言【ま行】
島根ならではの温かみある言葉を解説します!
方言単語 | 意味 |
---|---|
まさげ | 美味しそうに見える |
まめなかね | お元気ですか |
めーわくする | 感謝する、ありがたく思う |
まさげ
意味:美味しそう
「まさげ」は、見た目から美味しさが伝わってくる様子を表現する言葉です。「まさげな」と形容詞的に使うと「美味しそうな」となり、「まさげに」と副詞的に使う場合は「うまい具合に」という意味にもなります。
例文
島根の特産品、アムスメロンは、がいにみずみずしくてまさげだなぁ!
(島根の特産品、アムスメロンは、とてもみずみずしくて美味しそうだなぁ!)
まめなかね
意味:元気ですか?
「まめなかね」は、相手の体調や調子を気遣う言葉です。初めて聞くと違う意味に捉えがちですが、心遣いの表れとして日常的に使われます。
例文
毎日暑いけん、まめなかね?
(毎日暑いですが、元気ですか?)
めーわくする
意味:ありがたく思う
「めーわくする」は、感謝の気持ちを伝える表現です。誤解されそうな言葉ですが、「迷惑」ではなく「ありがたく思う」というポジティブな意味を持ちます。特に年配の方がよく使います。
例文
予定を調整していただいて、めーわくしました。
(予定を調整していただいて、ありがたく思います。)
島根の方言には、地域の人々の優しさや親しみが込められています。覚えて使うことで、地元の文化をもっと深く楽しむことができるでしょう!
島根県の方言【や行】
島根らしいユニークな言葉を紹介します!
方言単語 | 意味 |
---|---|
やーやこ | やっとのことで、せっかく |
やっきっき | じゃんけん遊び |
やーやこ
意味:ようやく/せっかく
「やーやこ」は、「ようやく」と「せっかく」の両方の意味を持つ言葉で、文脈によって使い分けられます。「やーや」と短縮形で使われることもありますが、他の言葉と混同しやすいので注意が必要です。
例文
やーやこ長い夏休みが終わるけん、ちょっこし寂しいな。
(ようやく長い夏休みが終わるから、少し寂しいな。)
やっきっき
意味:じゃんけん
「やっきっき」は、島根県で「じゃんけん」を指す言葉です。他の地域でも独自の呼び方があるように、島根ではこの掛け声が使われています。楽しい遊びの場面でよく登場する方言です。
例文
誰が後片付けをするか、やっきっきで決めよっか。
(誰が後片付けをするか、じゃんけんで決めようか。)
島根の方言は、独特な響きと温かみを持っています。ぜひ日常で使ってみて、島根らしい雰囲気を楽しんでください!
島根県の方言【ら・わ行】
日常で使える独特な言葉をご紹介します!
方言単語 | 意味 |
---|---|
ろくにする | 膝を崩して座る、あぐらをかく |
わに | サメのこと |
わやくちゃ | 荒っぽく、乱雑な状態 |
ろくにする
意味:膝を崩す/あぐらをかく
正座から膝を崩したり、あぐらをかく状態を表す言葉です。「楽にする」から派生したと考えられるため、意味を覚えやすい方言の一つです。緊張している人をリラックスさせたいときに、自然に使えます。
例文
そんなにかしこまらんでええけん、ろくにして楽にならんかね。
(そんなにかしこまらなくていいので、膝を崩して楽になってくださいね。)
わに
意味:サメ
島根では「わに」は爬虫類のワニではなく、魚のサメを指します。海の話題でこの言葉が出たら、驚かないようにしましょう。
例文
スーパーで新鮮なわにを買ってきたけん、今夜のご飯が楽しみだわ。
(スーパーで新鮮なサメを買ってきたので、今夜のご飯が楽しみだよ。)
わやくちゃ
意味:乱暴/乱雑な状態
「わやくちゃ」は、何かが混乱していたり、乱雑な状態を表します。他の地方でも聞かれる言葉ですが、島根では特に「乱暴」という意味が加わることがあります。
例文
子どもにわやくちゃなことせんように、ちゃんと気ぃつけときんさいね。
(子どもに乱暴なことをしないように、ちゃんと注意しておきなさいね。)
島根の方言は、独特の響きと地域の特色を感じさせます。ぜひ日常で使って、地元らしい雰囲気を楽しんでみてください!
島根県の方言の特徴的な語尾
島根らしい独特の語尾を詳しく解説します!
方言語尾 | 意味 |
---|---|
~ちょる・~ちょー | ~している |
~だが | ~だよね、~だよな |
~だけん | ~だから |
~ちょる・~ちょー
意味:~している(現在進行形)
島根の方言で、「~している」という状態を表す語尾です。「~ちょ」の響きが特に可愛らしく、親しみを感じさせる言い回しとして広く使われています。
例文
この夏休みは出雲大社に参拝しちょーけん、写真を撮っちょるよ。
(この夏休みは出雲大社に参拝していて、写真を撮っていますよ。)
~だが
意味:~だよね/~だよな
「~なんだよね」というニュアンスを語尾に持たせる表現で、会話の中で自然な相づちや共感を得るために使われます。
例文
松江城は国宝だが、ほんに立派な建物だなぁ。
(松江城は国宝だよね、本当に立派な建物だね。)
~だけん
意味:~だから
「~だけん」は、「~だから」を表す接続詞的な語尾として使われます。また、文脈によって「~です」「~だよ」という意味で使われることもあります。西日本全体でよく耳にする言葉でもあります。
例文
魚が新鮮だけん、海鮮丼がぼっこーおいしいんよ。
(魚が新鮮だから、海鮮丼がとても美味しいんだよ。)
島根の方言は、話し手の温かみや親しみやすさを感じさせる語尾が多いのが特徴です。会話の中で取り入れてみてください!
島根の方言は、「い」が「え」に変わったり、「ちょー」が語尾についたりと、独特で面白い表現がたくさんあります。初めて聞くと意味がわかりにくいものも多いですが、それがまた魅力的ですね。
島根を訪れる際は、地元の方言を少し覚えて会話に取り入れてみると、きっと旅がもっと楽しくなるはずです。
島根県は大人も子どもも楽しめる魅力的な場所がいっぱいだけん、ぜひ遊びにきてごしなぃね!(島根県は大人も子どもも楽しめる魅力的な場所がたくさんだから、ぜひ遊びにきてくださいね!)